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2025年12月15日 [アプリ屋さんのIoT]

最強の郵便受け

最強の郵便受けの筐体 今年の4月から始まった企画「最強の郵便受け」。
約8か月で色々な実験やモジュールを作ってきました。
今回は、それらをまとめて、実際の郵便受けに実装していきたいと思います。

過去記事は下のリンクを参照ください。
主に(1)と(2)に分かれています。前後編とお考え下さい。
4/21 最強の郵便受 (1)4/28 (2)
5/19 既存製品の分析5/26 リードスイッチ
6/16 配達員さんにお礼を!(チルトスイッチ)6/23 配達員さんにお礼を!(LEDと音声IC)
7/21 閉め忘れを監視!(1)7/28 (2)
8/18 ネットワーク接続(1)8/25 (2)
9/22 鍵のモーター制御(1)9/29 (2)
10/20 再挑戦:鍵のモーター制御(1)10/29 (2)

主に、郵便受けへの入力と出力に関してモジュールを作成してきました。
入力として、投函口の開閉センサー、受け取り口の開放検知
出力として、取出し口のキー、LED点灯と音声合成
通信として、Xiaoの通信
を失敗を重ねながら作ってきました。



今回、組み込みに使用したのは以下の製品を使いました。
メーカー:株式会社グリーンライフ社
商品名:プラスチックポスト30タイプ
型番:PP-30(W)
プラスチック製です。
ステンレスやスチールなどより加工のしやすさから選択しました。

値段相応の丈夫さであると感じています。
大きな特徴として、前面の上部に投函口、下部が上開きの取出し口となっています。
一応南京錠がつけられるように設計されています。



さて、ではモジュールを取り付けていきましょう。
しかし、ここで問題が発生。
それぞれを見ていきたいと思います。

1:投函口とチルトスイッチ

投函口のリードスイッチ チルトスイッチの接続はでき、それなりの成果を出していたのですが・・・
可動部にチルトスイッチをとりつけたため、Xiaoとのケーブルにダメージが蓄積されるとのこと。
確かに、ケーブルは回路設計用のもので、曲げ伸ばしは想定していません。
設計の初期段階からのミスですね。

解決方法として、リードスイッチを使うことにしました。
以前の記事にて紹介しましたが、リードスイッチはマグネットが近づくと反応するセンサーです。
可動部(投函口のベロ)にマグネットを付けることによって、無事に解決することができました!

このリードスイッチは、取出し口の閉め忘れでも利用しています。



2:LEDの点灯と音声合成


フロップセンサー(チルトスイッチ) 投函口からのリードスイッチ信号をキャッチし、マイコンボードで処理することは無事に成功しました。
次に、配達屋さんに「ありがとう」の感謝をこめて、LEDで記号の点灯、音声合成LSIを使って労いの言葉をかけるモジュールを作成しました。

しかし、このモジュールにも問題点が。
LEDの表示場所に悩みました。当初は、前面に照らすつもりでしたが、正面は投函口と取出し口。
先の可動部に当たるために、設置を断念。
残る場所として、天板に穴を空けて、雨対策でクリアボードを敷き、その内側にLEDモジュールを設置しました。
発想は良かったと思いますが、LEDのぼこぼこ感で綺麗に表現できず。
有機EL(デジタルサイネージ、ディスプレイ等)や、チップ状のLEDを使えば、良かったと思った次第です。

音声合成にしても、返って郵便屋さんを驚かせたり、近所迷惑にもなりかねないので諦めました。
実験では、面白いのですが、実際に使うとなると、IoT機器以外での問題が発生するのが難しいところです。



3:鍵

鍵の付け所で、かなり悩みました。
前回はカンヌキ型と回転式をテストしました。
そこでは、ステッピングモーターを利用して突っ掛かりを回転させてロックをかける方式を採用しました。


今回の郵便受けの構造では、受け取り口は全体が可動部。しかも外箱に覆い被るような構造です。
つまり、箱の外側からロックをかける必要があります。

一応南京錠を付ける穴があり、そこへのバーの差し込み。
扉をきちんと閉めるフック部分に穴を空けて、金属板を回しこむ。
といった方法が考えられましたが、内部だと利便性(荷物を取り出すときに邪魔)、外部だと環境耐性(雨など)を理由に諦めました。
違うポストにすれば、解決するかもしれませんが・・・
今回のポストでは限界の様です。



4:総括

今回、最強の郵便受け(IoT郵便受け)を設計からモジュール作成、ポストへの組み込みまで体験しましたが、ソフトウェア製作とは勝手が違うなと感じたことが多くありました。


最大の失敗は、基板に半田付けをしないでテスト用のブレッドボードやシールドを利用したこと。
これにより、制御基板が大きくなり、ポストの機能に支障をきたすことがありました。

また、LEDランプの表示のために郵便受けに穴を空ける必要があるなど、その代償として雨水対策が必要になることも。

既存の製品をカスタマイズするためには、ベースとなる製品と、しっかり設計された回路、製品内の配線などの設計は必要不可欠と改めて感じました。
アプリ屋は、ソフトウェアのバージョンアップで解決できることが多いですが、IoTでは通用しにくい例となりました。



今回は、連載「最強の郵便受け」の結果について記事にしました。
次回は、ハードウェア屋さんの下拵えについて記事にしようと思います。



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