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2025年05月12日 [アカデミック]
カタカナ表記

今回は、その続きで、カタカナ表記について紹介していきたいと思います。
カタカナ表記とは、英語などの外国語発音をカタカナで表記した単語です。
IT用語の半数は英語のイメージがあります。
昔は強引に漢字表記を利用していた時期もありましたが、新しい単語が続々生まれるため、最近ではそのままカタカナ表記を利用することが多くなったと実感しています。
ここではJISX0002-1987 情報処理用語(算術演算及び論理演算)を例にとって紹介していきたいと思います。
一番多いのは、調音記号「ー」だと思います。
英語で言えば、主に「er」や「or」で終わる単語についてです。
・「スカラ(scalar)」(02.02.05)
・「ベクトル(vector)」(02.02.06)※ドイツ語読みなので、英語でのカタカナ表記では「ベクタ」
もちろん単語中の例もあります。
・「パラメタ(parameter)」(02.02.04)
ITの規格では、長音を利用しないようですが、現在は利用することも多いようです。
※「スカラー」「ベクター(ベクトル)」「パラメーター」
Adobe 社の主力製品である「Illustrator」も「イラストレータ」ではなく、「イラストレーター」が多くなっている印象です。
もっとも、Blog等の口語チックな文章では、略して「イラレ」と書くことが多いようです。
学生時代に教授や先輩に教わった原則として
・文末の長音記号は使わない。但し、短い単語(3文字程度以下)の場合は使う。
・複数の英単語の接続時に、前の単語が「er(やor)」の場合は長音記号を使う。
がありました。
先輩の言をとれば、もっと複雑なルールがあるそうなのですが、前2項で事足りました。
そして例外的な単語につきましても、一文書内で統一されていればスルーされておりました。
他に例を探してみました。
・「カルノー図法(karnaugh map)」(02.12.06)
音声記号(IPA)を見ても、カーナに近いのですが、カルノーになっております。
次は、漢字にしたがために、難しくなった例です。
・「閾値[しきいち]を定める(to range)」(02.13.10)。
閾値とは、ある値を判別するときに、その境となる数値のことです。
ハードウェアでの例を挙げれば、アナログ信号を0nとOffに判断する値になります。
規格では、この範囲を決めることを漢字表記にしていますが、ITが普及した現在ではレンジの方が意味が通じやすいのではないでしょうか。
世の中には3つの表現が存在します。
一つは公認規格(JIS / IEEE等)。
一つは業界標準。
そして一般利用の用語。
それぞれを見比べてみるのは、とても興味深く感じます。
最後に最近の単語で、個人的に関心を持ったものをご紹介。
その単語は「娯楽(entertainment)」。
一般的には「エンターテイメント」と発音し、普及していると思っていたのですが、
最近の企業名では「エンタテインメント」ととして使用しているのが目につき始めたことに驚いています。
この様に、外国語を取り入れる場合、何を主軸にして決めているのか。
和製英語の件も含めて、注意深く観察してみるのもよいのではないでしょうか。
ハードウェアの教科書は、ソフトウェアに比べると圧倒的に不足しています。
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